春の丘であなたと

「ぼくはほかに楽しみを見つける。
それがふたりのためだ」結婚してすぐに夫は出ていき、連絡もないまま2年が過ぎた。
10歳も年上の実業家であるガブリエルを理解するには、ジョアンナはあまりにも純粋すぎたのだ。
だがこの2年、夫のいない館で義父と暮らし、ジョアンナは女主人として懸命に務めてきた。
そしていま、義父が突然この世を去った。
彼は戻ってくるだろう。
遺産と館を引き継ぐために。
望まぬ結婚を強いられた、幼い妻と別れるために。
うだるような蒸し暑い夜、ジョージアの目は冴えていた。
悩みの種は、ある男友達との関係がいっこうに先に進まないこと。
一度だけ、思いきって親友のアドバイスに従ってみよう。
想像力をかきたてながら、電話でセクシーな会話を交わすのだ。
勇気を振り絞って試してみると……結果は、なんと大成功。
耳元で囁かれる情熱的な言葉に、ジョージアは舞いあがった。
番号を間違え、見ず知らずの男性に電話したとは気づかずに! 一方、電話を受けたケンも、見知らぬ女性の声に魅了されていた。
翌日ケンは実物のジョージアを捜しだし、猛アタックを開始する。
革命の嵐が吹き荒れる十九世紀半ばのヨーロッパ。
ロシア亡命貴族の娘ジュリーは使命感に燃えながらトリノの病院で看護婦として働いていた。
入院患者のひとり、ハンガリー亡命貴族テオは、自分に大けがを負わせたうえ、恋人を奪った男に復讐しようと固く決意している。
民間人の夫婦を装ってロシアを目指すというテオの計画を知り、ジュリーは衝動的に協力したいと申し出た。
かくして愛と復讐の交錯する二人の旅が始まった……。
ブーツ。
クランシーのお気に入りの白いブーツだ。
ナターリャは幼なじみのブーツの足先を目にして駆け寄った。
その日、ふたりで訪れるはずだったアートギャラリーの駐車場で、電話中に不意に連絡を絶った友人を、彼女はやっと見つけた。
何か事件に巻き込まれたのではと不安でならなかった。
これも、警察署で携帯電話の電源を追跡してもらったおかげだわ。
ナターリャのそばには、刑事のマイクが付き添ってくれていた。
彼は事情を聞いて、勇敢な騎士のように快く協力を買って出てくれた。
ハンサムなプレイボーイ風で、なれなれしいのが少し気になるけれど。
そんな思いも束の間、見つけたはずの友人は車の陰に倒れ込んでいた。
青白い顔で身動きもせず、息をしている気配はまったくなかった……。
エリカは地元の人気ミニコミ紙『ダラス通信』を発行している。
彼女の書くレストラン評は店の集客に大きな影響を及ぼし、悩み相談欄宛には、彼女の機知に富んだ回答を求めて、読者からのメールがひっきりなしに送られてくる。
仕事はすべて順調。
しかし、エリカの心は満たされなかった。
そんなとき、一人の男が彼女を訪ねてきた。
ダスティン・ラムジー――高校時代の同級生であり、エリカの初めての相手だ。
十年間音信不通だったのに、今さらなんの用?不審に思うエリカに、ダスティンは言った。
「ビジネス契約を結びたい。
だがその前にまず、服を脱いでくれ」続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60022652